未来をつくる、クリエイターの見ている”ヴィジョン”刻み込まれた過去、現在を通じ、これからの一歩を目で語る
ファッションデザイナー 森川 拓野
通勤電車に揺られる彼は、次回作用の生地サンプルを手に取り、眺める止まらない胸の高鳴りに、自然と笑みがこぼれる。
過去の体験は
形に 中身に 素材に 技術に 方法に
表現を変え、また新たな心の揺れに、新しい体験を重ねる
終わりのない探索をデザインし続ける
「お客様を幸せにしたい」この気持ちは働く人々が皆、当たり前に持っているだろう。彼はそれを更にどうやったら幸せにできると思うか、を探求し、話してくれた。
様々なショップやファッションが流通している今、流行りのもの等はファストファッションのショップですぐに手に入ってしまう。SNSが主流となってきていることもあり、画面上で判断をしてしまいがちだ。
だが彼がデザイナーとして服を作っていく以上、今の流行をデザインしておけばお客様も満足するだろうといった考えでは、絶対に服を作ってはいけない。それは、お客様や取引先様を見下す失礼な行動だからだ、と語った。
自分自身が心からかっこいいと感じ、気持ちを込め、ワクワクしながら作った服を提案することがお客様に対して一番の礼儀だ、と。
普段何かを購入する時、どんな基準で選んでいるか。例えば野菜だって、ただなんとなく買うよりは、作った人が美味しいと胸を張って勧めてくれる野菜を買いたいと思うだろう。日用品、化粧品もその一つである。彼自身も、お店で買い物をする際は、良い意味でオタク気質のある方から買ってしまう、と話していた。
ものが溢れている現代社会でこそ、自分の目で見て、触って、話して、人の気持ちや温かみを感じて購入したいものだ。
TAAKKの2018S/Sコレクションでは、モデルの顔を全身タイツを着せて隠し、ランウェイを歩かせた。モデルの匿名性を出し、モデル個人やSNS上で評価をするのではなく、彼のこだわった服そのものへの関心を持ってほしいと言ったような意味合いなのではと感じた。
これからの目標を問うと、彼はシンプルに「すごいブランドになりたい」と言った。というのは、時が経っても人々の心に残るような、TAAKKと携われて良かったなと思っていただけるようなブランドへ成長し続けたいという、
彼の人柄や会話から、とても温かく熱い人間性が伝わってきた。
今の市場を見て売れるものを作ることは誰だって出来て、言ってしまえば代わりも沢山いる。ビジネスとしては正解かもしれないがそれをやってしまうことは一つのブランドとしてはタブーだ。胸を張って心から勧めること、志を持ってブランドを続けることは、唯一無二の存在になることで、お客様や関わる人々の心に残るであろう。
これはファッション業界だけにとは言わず、現代で最も必要な気持ちだと感じた。
インタビュー後にも、次作、2018F/Wのサンプルが近々手元に届く、と嬉しそうに話してくれた。彼と会話をしていると自然と、もっと語ってほしい、教えてほしい、という気持ちになる。無意識に興味が掻き立てられ、自分の中にはない知識を知れた喜びを感じていた。
直接会話を交わすことで新たな発見や感情が生まれる、
ものも人の気持ちあってこそだと、彼に再確認させられた。
TAAKK
Official HP / taakk.jp/
Instagram / @taakk____